看護師×企業 クリニカルスペシャリスト 壮絶な1か月

クリニカルスペシャリストという仕事は医療機器メーカーで働き、自社の医療機器製品の適正使用と普及拡大活動に努めるお仕事になります。

どのような仕事もそうですが、忙しい時期と落ち着いている時期はそれぞれ職種によって異なります。

ERで働いていた看護師時代は冬がAMI(急性心筋梗塞)や、脳卒中の急患が多くとても忙しかったです。

また土日になると診療所が休みな事もあり、walk inの人数が平日よりも増え、より重症患者を見逃しやすい環境となるため、緊張感を持って働いていた事を覚えています。

クリニカルスペシャリストの場合は、自分の担当する医療機器がどの科にあたるのか、どのクラスの医療機器に分類されるかで忙しさや大変さが変わってきます。

また自分の担当する製品が「導入期」であるのか、「拡大期」であるのか、「維持期」であるのかなどのフェーズによっても忙しさや働き方が異なります。

そして医療従事者に自社の医療機器製品の使用方法が浸透しているのか、もし浸透していないのであれば説明会を実施する回数が増えるなどの影響が出てきます。

今回はとある看護師の私がクリニカルスペシャリストで働いてきた中で、壮絶な一ヶ月を経験した事の振り返りを記載していきます。

※身バレを防ぐため、ある程度ぼかした表現や記載内容になっています。

壮絶な一ヶ月を経験したと言っても既に去年の秋ごろになります。

その時はメンタルが完全にやられてしまいブログを全く更新できなかった時期と重ねっています。

当時の私は、まだクリニカルスペシャリストとして経験が浅く、ようやく顧客先の医療従事者とある程度の会話のキャッチボールが出来るようになってきた時期でした。

会話のキャッチボールが出来るようになってきたとはいえ、コロナの影響もあり病院によっては医療機器メーカーの立ち入りを禁止する状況が発生しており、Dr へのアポイントメントはおろか、上手く顧客先への訪問も出来ない状況が続いておりました。

おそらくではありますが、どの医療機器メーカーのクリニカルスペシャリストでもこの状況に困惑し、そして新しい働き方を模索していた時期ではないでしょうか。

そんな新しい働き方を模索する中でも、会社としては「利益」を求められる状況が続きます。

ほかの競合しているメーカーに負けないように、戦略を練る必要がありました。

顧客先の病院には少しでも私の担当する医療機器製品を使ってもらえるように、顧客先に刺さるような論文を探したり、

勉強会の開催を提案するなどのアプローチを行いました。

奇跡的にも顧客先の先生に興味を持ってもらえたケースはそこを足掛かりにアポイントメントを取得していきました。

とはいえ、顧客先とのアポイントを取得できる回数はわずかです。

そのわずかなチャンスをものにする必要がありました。

そのチャンスをものにする為に最も大切な事は「準備」です。

ER時代でも患者が救急車で運ばれてくる前にするべき最も大切な事は「準備」でしたので、そこは共通した部分だと私は思っています。

しかしながら、ER看護師の瞬発的に求められる「準備力」とクリニカルスペシャリストに求められる「準備力」は圧倒的な違いがあります。

顧客先へ訪問すると言っても、10分程度のアポイントメントのものもあります。

その10分にどれだけ情報を詰め込めるのかが大切です。

その10分の時間のために何時間もの「準備」を要します。

ここで言う準備というのは、資料の作成や論文の作成、また顧客先の先生がどの内容に興味があるのか、その興味をどのように引き出して、どのような情報を伝えられるのかという圧倒的なインプットに他なりません。

今もそうですが、当時の私は熟練したクリニカルスペシャリストではなかったため、相当な勉強をつづけました。

顧客先の病院訪問を終えた後に自宅あるいは会社で資料の準備やその他勉強も含め、朝8時から夜0時に及ぶこともありました。

初めは持ち前の根性と精神論で何とか働けていたのですが、その生活を1か月ほど過ごしていく中でだんだんと体調に変化が出てきたのです。

ここからが壮絶な一ヶ月となりました。

そんな生活を1か月ほど続けた結果、まず変化が訪れたのは頭の回転力の遅れです。

いつも出来ていた事がなぜか時間通りに出来ず、いつも以上に時間をかけなければならない状況が続くようになりました。

しかしながら、少ないチャンスを手にしたいという焦りから、より一層働く事へ力を注ぐようになりました。

そんな生活を続け、次は睡眠に影響が出てきました。

仕事が終わるのが23時、24時としてどうしても次の日の仕事が気になってしまい寝れなくなってしまったのです。

やっと夜寝れたとしても、仕事で失敗する夢を見続けるなどし、途中で目が覚めてしまうなど明らかに睡眠状況が不良となっていきました。

元々仕事とプライベートのON-OFFが上手く出来ない私は、ますます疲労を蓄積していきました。

そんな生活を続けた結果、仕事中に突然涙が流れるという症状が発生しました。

資料を作成するためにパソコンに向かうのですが、どうしても手を動かしたいという思いになれず、ただただ涙を流し続けてしまいました。

そしてついには妻の前で声を出して泣きだしてしまうようになりました。

ここでついに自分の精神がどうしようもない寸前にまで追い詰められているという事に気が付きました。

元々の性格か、生い立ちが原因は分かりませんが、私という人間は昔から完璧主義で、どうしても人に認められたいという承認欲求が強い人間でした。

また自分自身は、

「辛いことを耐えてこそ成長が出来るのであり、根性と精神論で何とかなる。」

と根性論で乗り越えようとする事がこれまでも多くありました。

「たった1~2か月くらい、こんな生活をしていても大丈夫だろ。」と思っていました。

そんな自分が自分自身をここまで追い詰めてしまったのだと思いました。

そんなこともあり、私は「一旦休む」事を決めました。

とはいえ、担当の顧客には迷惑をかけたくないという思いがあり、

毎週月曜日に有給休暇を申請したのです。

週4日働き、週3日休む。仕事のON-OFFはとても苦手でしたが、休みの日はなるべく仕事の事を考えないように過ごしました。

休みの日はなるべく体を休め、動きたくない時は動かない日々もありました。

そんな生活を継続し徐々に自分の体調を整えていきました。

そして、ふと見る外の景色や何気ない風景がとても美しく思えるようになってきました。

普段何気なく見ていた景色が、空が、風景がこれほど美しく見えるというのはとても驚いたことです。

そして「健康ってとても幸せな事なんだ。」と気づきました。

健康であるという事の幸せを心から噛みしめることが出来ました。

そして何とか無事にこの壮絶な1か月を乗り切ることが出来ました。

今となっては良い思い出になりつつありますが、本当に大変な1か月でした。

どの仕事もそうですし、その人の年齢や時期によっても様々ですが、

人生において辛い時期は必ずあります。

そのような時にどう過ごし、どう乗り切るのかは自分次第だと思います。

とっても当たりまえな事なのですが、無理をすることによって成長出来ることもあるかもしれませんが、無理をしすぎると人は壊れてしまいます。

壊れる前に、壊れかけた時に自分でその状況に気づくという事がとても大切です。

幸いにも私の場合は看護師免許があるという思いから、「いつ辞めても働き口はある」という思いから、思い切って仕事を休むという行動に出ることが出来ました。

恐らく当時の生活を続けていれば、間違いなく心の病気となっていたでしょう。

また当時の私は自分が自分でなくなるような感覚があって、笑顔も喜びも感じる事がこれから一生出来ないかもしれない

といったような不思議な絶望感を感じていました。

クリニカルスペシャリストになってからはより一層「結果を出したい」「認められたい」「年俸UPが人生において重要だ」など、どんどん気持ちだけが前のめりになってしまっていました。

しかし、大切な事は以下に心と体が健康であるかという事だと改めて気づくことが出来ました。それはあの1か月があったからです。

人生において働くという事は喜びの一つだと私は思いますが、無理をすることや辛いことを続けることが美徳ではありません。

看護師という職業は様々なレールがあり、また選択肢が多く広がっています。

看護師はその選択肢を自分自身で決めることが出来ます。

病院で部長を目指したり、専門看護師、認定看護師になったり、

地域を支える訪問看護師になったり、訪問看護の経営者になったり、

企業でスーツをバッチキリ着こなして働く事も出来ます。

その選択肢の中で、何が自分にフィットしているのか、何が一番自分の幸せにつながるのかを考えていく事が、今後のよりよい人生につながります。

看護師としてのキャリアに漠然と悩む人はきっと多くいるのだと思います。

私自身もその一人です。

そんなとある看護師のキャリアをこのブログで覗いてもらって、何かこのブログを通して何か看護師のキャリアのヒントになれたら幸いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

「看護師としてのキャリアってなんだろう」 と日々考えているとある看護師 新人からHCU配属。HCU,ICU,ER経験。 新しいチャレンジをしてみたいと考え、思い切って企業に転職。外資系医療機器メーカーのクリニカルスペシャリストとして働きだす。 企業で働き始め、「やはり看護は面白かった」と再考。 再び看護師へUターン。 「どうせなら新しい看護にチャレンジしよう。」と精神看護の道へ。 現在精神看護師として救急病棟で勤務している。 学歴 専門学校卒→放送大学卒(教養学) 学位授与機構で看護学士取得済