「健康」に関して~不平等という視点から


人は平等を大切にします。

しかし全てが平等になるという社会は存在しません。

医療現場においても、人の健康という視点においても、不平等は存在します。

不平等について考えるにあたり、不平等は二つの意味に分解することが可能です。

「結果の不平等」と「機会の不平等」です。

この二つに不平等を分解することは、問題を整理する上で、有効な考え方です。

今回はこの二つの不平等について捉えながら、医療に関わる「健康の不平等」についても考えていきたいと思います。

目次

①結果の不平等

②機会の不平等

③健康の不平等

④健康の不平等と未来

①結果の不平等

結果の不平等は、何らかの活動を行った結果、受け取るものの差の不平等をあらわします。

例えば、一生懸命働いたのに、同じだけ働いた別の人よりも給料が少ない時に、結果の不平等が生じていると考えられます。

他には、同じ年齢で、同じ病歴で、同じ治療をしたのに、一方の人は完治して、もう一方の人は治りが悪かった時も結果の不平等が生じていると考えられます。

②機会の不平等

機会の不平等は、何らかの活動を行うための機会、チャンスの差をあらわします。

たとえば、子供が教育を受ける機会、病院を受診する機会、保健サービスを受ける機会などがあげられます。

住んでいる地域(過疎化した限界集落など)によって、十分な医療が受けられない、などは機会の不平等が生じていると考えられます。

結果の不平等だけを見ていても、問題解決にならないから機会の不平等などにも着目していく必要がある。そういった主旨で、これらの二つの不平等が分解されています。

③健康の不平等

健康自体が、収入や資産の大きさによって差が生じている時、

つまり多くのお金持ちが健康で、貧困層が不健康で病気がちである時、これは健康に格差が生じていると考えられます。

社会格差が健康に格差を生じさせているという事です。

そして人が健康であること、健康に生きることは基本的人権の一つに挙げられています。

つまり健康に格差が生じているという事は不平等であるといえます。

実際に米国で行われた研究では、富裕層が多く住む地域と、貧困層が多く住む地域の平均寿命を比べたところ、

平均で10歳以上の平均寿命の差があったと言われています。

ではなぜ社会格差が健康格差、つまり不平等が健康を奪うのでしょうか。

不平等が健康に結びつく理由として、英国の経済学者で、疫学者でもあるウィルキンソンは三つのメカニズムをあげています。

一つ目は、ストレスです。

人は常に、自分と他人に優劣をつけて生きており、こうした差を感じることが大きなストレスになっています。

つまり、人間は見下されたり、低く評価されたり、二流のように扱われるとことに敏感で、これが大きなストレスとなり健康に影響するというものです。

二つ目は、人々の信頼関係、地域全体の絆の強さです。

社会格差が大きく、個人の社会経済的な地位達成が重要視されると、人々は私利的、自己中心的になり競争的になります。

それらが、強くなると、お互いに信じ合わなくなり、攻撃的になると言われます。

地域住民が信頼し合い、社会に参加したり、人との結びつきが強い状況といった関係性は、健康に大きな影響をもたらします。

三つめは、親の社会的地位の差です。

親の社会的な地位の差が子供の情緒発達の差を生じさせることによって、ストレスへの抵抗力が落ち、健康に差が出るというものです。

以上の三つが健康格差、不平等によって奪われる三つのメカニズムです。

しかし、ここで注意してほしいのは、健康の社会的格差、不平等は医療の差を反映したものではないということです。

実際には貧困層ほど、富裕層に比べてお金のかかる医療を受けることができない、ということがあるかもしれません。

しかし、それらの割合よりも、先ほどお話しした三つのメカニズムによって健康が奪われる可能性が高いのです。

つまりお金がある、お金がないという事が直接的な原因ではなく、それに伴う身体・精神・社会的なストレスによって健康が奪われるという事です。

④健康の不平等と未来

今後の未来はどうしていくべきなのでしょうか。

私たちが健康的に生活する上で、日本では、上下水道や電気機器などの生活環境の整備の問題は通り越して、

職業や学歴などの社会格差や社会的、経済的な環境を整備することも大きな営みです。

そしてそれは個人の問題と捉えるだけでなく、組織や政治レベルの問題になってきており、

不平等是正のための取り組みが大切です。

社会的不平等の是正を目指して、完全に平等の社会を実現することは困難です。

しかし、平等に近づけるような取り組みや政策は今後も必要です。

またウィルキンソンは、市民の考え方を変える必要があると言っています。

相対的な社会格差によって、健康が損なわれることがあるのだから、

ある人の地位が上がるということは誰か別の人の地位が相対的に下がる、ということを深く認識することが重要です。

あるいは、その人の資産が増えることはそれによって、多くの人が相対的に貧困化するという事実を認識しなければなりません。

こうした認識を強く持つことが、社会格差の拡大や偏見、排除につながる基本的な姿勢を取り除くことに繫がります。

そしてすぐ周りにいる人だけでなく、目に見えない他者に対するいたわりや、配慮、理解が必要です。

自分の地位向上に向けて努力することは何も問題ではありません。

しかし、同時に他人へのいたわりや優しさは大切にしていく必要があるのです。

まとめ

社会的経済格差や不平等が健康に結びつく理由として、人々の信頼関係や、地域全体の絆の強さなども「3、健康の不平等」で挙げました。

医療全体も、地域の結びつきを強く意識する時代が来ました。

訪問看護などは、地域に住む人々の健康に関り、ケアをします。

訪問看護の充実が、人々の健康につながります。

訪問看護の充実が、住み慣れた地域での生活や、人間関係の継続を意味し、地域全体の絆にもつながるかもしれません。

看護師はそういった意味でも患者の人生に関わっています。

また看護師は、そういった人と人のつながりを大切にしなければならない尊い職業です。

人と人を結びつけるような、そんな新しい事業が、そんな新たなイノベーションを起こすことができるのは、看護師かもしれません。

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ABOUTこの記事をかいた人

「看護師としてのキャリアってなんだろう」 と日々考えているとある看護師 新人からHCU配属。HCU,ICU,ER経験。 新しいチャレンジをしてみたいと考え、思い切って企業に転職。外資系医療機器メーカーのクリニカルスペシャリストとして働きだす。 企業で働き始め、「やはり看護は面白かった」と再考。 再び看護師へUターン。 「どうせなら新しい看護にチャレンジしよう。」と精神看護の道へ。 現在精神看護師として救急病棟で勤務している。 学歴 専門学校卒→放送大学卒(教養学) 学位授与機構で看護学士取得済